郵便受けのカギを壊されて、郵便物が開封してあった
昔の友人が訪ねてきてくれて、昔の夫がお酒で身体を壊したまま亡くなったと聞かされました。それを聞いて私は、心からの安堵のため、その場に泣き崩れてしまいました。友人は驚いて、余計な同情を買ってしまいました。
もちろん私は元夫が亡くなったから悲しくて泣いたわけではありません。元夫と別れてからもずっと、身をひそめるように暮らしてきたのです。今日だって昔の友人の訪問に、鍵を開ける手が震える程、最初はひどく動揺したのですから。ですから本当に、心から嬉しくて思わず泣いてしまったのです。もう隠れて暮らす必要はない。やっと私は自由になれたのです。
元夫とはお見合いで出会い結婚しました。最初の半年くらいは良い夫を演じていたのですが、本当はひどい暴力男でした。それがわかった時には、私のお腹にはもう子どもが宿っていて、すぐに別れることはできなかったのです。私が子どもを出産して父親になっても夫は、まるで何も変わらず、逆により横暴になっていったと思います。自分のみならず子どもの安全も怪しいと分かった私は、着の身着のまま、子どもを連れて逃げ出しました。今のようにシェルターのような施設はありませんでしたので、知り合いのところを渡り歩いて、迷惑もかけました。やっと落ち着いた転居先でも元夫はいつの間にか探し当ててきます。私たちが居ない間に郵便受けのカギを壊されて、郵便物が開封してあったこともありました。どこに逃げても追ってくる彼に、私は精神的にも追い詰められ、玄関に鍵を5個つけても、眠れない夜もありました。
10年近く逃げ回り、弁護士や行政の助けも借り離婚が成立した後でも、帰宅時に彼が後をつけてきていないか振り返り振り返り帰ったり、鍵をしっかり閉める習慣も直りませんでした。でもそれも、本当に今日で終わりにできるのです。こんなに嬉しい知らせは、離婚が成立したと聞かされた時以来でした。